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世界陸上2003
メダルを目指せ!日本代表
 陸上の第9回世界選手権が23日、パリのサンドニ競技場で開幕する。日本からは男子28人、女子21人が出場し、世界の強豪に挑む。注目は男子200メートルでメダルの期待がかかる末続慎吾(23=ミズノ)だ。6月の日本選手権でアジア記録の20秒03をマークし、世界のトップランナーの仲間入りをした。この他、400メートル障害の為末大(25=大阪ガス)ハンマー投げの室伏広治(28=ミズノ)が2大会連続のメダルを狙い、女子マラソンの野口みづき(25=グローバリー)女子1万、5000メートルの福士加代子(21=ワコール)らが上位進出を目指す。7月の世界水泳に続き、8月の夜も眠れない!


 日本最速スプリンター 堂々の“メダリスト”宣言
◆末続慎吾(23=ミズノ) 

 日本最速スプリンターが200メートルのメダリスト(3位以内)を目指して世界選手権に挑む。

男子200メートルでメダリストを目指す末続
男子200メートルでメダリストを目指す末続
 これまで日本選手はファイナリスト(決勝進出者8人)を夢見て五輪や世界選手権に挑戦してきた。過去の五輪、世界選手権の男子トラック種目での入賞者はたった9人。この中でメダリストとなると前回のエドモントン世界選手権男子400メートル障害の為末大(25=大阪ガス)のみ。100、200メートルではメダリストはゼロ。入賞者に範囲を広げても「暁の超特急」の異名をとった吉岡隆徳が1932年のロサンゼルス五輪100メートルで6位を記録しただけだ。

 「メダリスト」。そんな高い壁への挑戦を末続が堂々と口にするのも、今季の成績が世界レベルにあるからだ。4月の水戸国際陸上の100メートルで10秒03の国内日本人最高を記録。さらに6月の日本選手権の200メートルでは今季世界最高となる20秒03の日本新記録を打ち立てた。その後、バーナード・ウィリアムズ(25=米国)が20秒01で走り世界ランク1位の座は譲ったが、末続は十分にメダル圏内にいる。今季の好調の秘密のひとつは、今季から巨人桑田も傾倒する「古武術なんば」を取り入れたことだ。手足の動きはてっぽう柱をたたく動作にそっくりで、それが前への推進力を最大に引き出す効果をもつらしい。

 今回の世界選手権は、当初100、200、400メートルリレーの3種目に出場する予定だったが、8月になって「今回は200メートル、400メートルリレーで万全を期して、きちんと走り切りたい」と、個人種目の出場は200メートル1本に絞った。アジア人にとって前人未到の9秒台(100メートル)を捨てた末続が、もう1つの夢である19秒台(200メートル)とメダルをがむしゃらに取りにいく。


 小さなハードラー 2大会連続メダル獲得に挑む
◆為末大(25=大阪ガス) 

 小さなハードラーが2大会連続メダル獲得の快挙に挑む。2年前のエドモントン大会。為末は400メートル障害で銅メダルを獲得した。ゴール前でのアルソマイリー(サウジアラビア)との激しい3位争いを制して47秒89の日本新記録でフィニッシュ。日本男子陸上界にトラック種目の初メダルをもたらした。

2年前の再現なるか。2大会連続のメダル獲得を狙う400メートル障害の為末
2年前の再現なるか。2大会連続のメダル獲得を狙う400メートル障害の為末
 400メートルで10台のハードルを越えるこの競技。トップ選手はハードル間を13歩で駆け抜ける。そのため身長が大きい方が断然、有利だ。実際、世界選手権のファイナリストになるような選手には190センチを越える大男もいる。対する為末の身長は169センチ。そのハンディをハードルを越えるテクニックで補ってきた。前日本記録保持者の山崎一彦氏(福岡大コーチ)は「体のさばきがいい」という表現で為末の強さについて話す。続けて「空中で体を維持して次に備えるのがうまい。空中で足の接地位置などを微妙に変えられる」とその器用さをたたえる。

 中学時代に3種競技B(走り幅跳び、400メートル、砲丸投げ)で中学記録を作った。そのスピード、跳躍力、筋力が現在の400メートル障害でも活かされている。前半の強さは世界ナンバーワン。169センチの身長で5台目のハードルまでは、大型選手と同じ13歩で走りスピードに乗る(6、7台目は14歩。それ以降は15歩)

 今年は6月の日本選手権で3連覇を飾ったが、まだ本調子ではない。しかし8月上旬の合宿で、100メートル日本記録保持者の伊藤浩司氏のビデオを何度も見てストライドが伸びる走りを思い出した。さらに競馬中継で速い馬が頭を低くして走るのを見て、前傾姿勢で走る重要性を再認識した。

 7月には、父敏行さんを54歳の若さで亡くした。前回のメダルは母文枝さん(53)にプレゼントした。今回もメダルを取って父にプレゼントするつもりだった。手渡すことはできなくなった。しかし父の墓前にパリでのメダルを供えるために為末は走る。「今は走ることだけが『使命』だと思っています」。


 アテネ五輪に向けて復活の地となるか
◆福士加代子(21=ワコール) 

 みちのくの爆走娘がパリで爆発する。6月の日本選手権1万メートルでは2位の田中めぐみ(27=埼玉りそな銀行)に8秒09の大差をつけ、32分47秒15で優勝。見事な復活で世界選手権切符を手にした。

持ち前の明るさとスピードで完全復活を目指す福士
持ち前の明るさとスピードで完全復活を目指す福士
 昨年12月の全日本実業団対抗駅伝(岐阜)で3区を走った福士は、ラスト1キロ付近で他選手と接触し転倒。左ひざじん帯を損傷して休養を余儀なくされた。一時は日本選手権への出場も危ぶまれたが、走ってみれば福士は強かった。6000メートル過ぎから、いつものようにスパート。ピッチを上げて独走態勢を作り最後は笑顔でゴールした。

 まだ「7、8割」の状態での完勝だけに、世界選手権への期待はふくらむ。21歳の若さながら、3000メートル(8分44秒40)、5000メートル(14分19秒)の日本記録保持者。今大会では5000、1万メートルの2種目にエントリーした。過去、五輪、世界選手権の女子5000、1万メートルで日本人の入賞は8人。このうち97年のアテネ世界選手権では千葉真子(27=当時旭化成)が1万メートルで銅メダルを獲得している。

 ワコールの永山忠幸監督(43)は「まだ若いし、先頭を切るようなレースをさせたい」と話した。異常気象で猛暑が伝えられるフランス。青森出身の福士にとっては辛いレースになるかもしれない。しかし福士にはそんな辛さを感じさせない明るさがある。パリの地が、若い福士のアテネ五輪へ向けてのスタートであり、本当の復活の地となる。


 
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