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仙台育英・石井45MびっくりFKで開幕

前半39分、仙台育英MF石井の放った45メートルFKに奈良育英GK安達が跳び付くも捕れず先制ゴールとなった(撮影・蔦林史峰)

<全国高校サッカー選手権:仙台育英4−1奈良育英>◇初日◇30日◇国立競技場◇1回戦1試合

 その距離何と45メートル−。仙台育英(宮城)の超々ロングFKが、開会式直後の国立競技場の空にきれいな弧を描いた。決めたのはMF石井裕一(3年)。奈良育英(奈良)戦の前半ロスタイム、前線の味方に合わせるはずのロングボールが、強風に乗ってゴールへと吸い込まれた。高校サッカーの歴史に残る一発で、仙台育英は4−1の大勝。商社マンから転身した吉井秀邦監督(30)にとっても、驚きの全国1勝となった。

 ボールは強風に乗って、ぐんぐん伸びた。カウンターに備えていた奈良育英FWの頭上を越え、さらに勢いを増す。ゴール前に攻め上がっていた仙台育英の選手たちも見送った。「ミスキック」と誰もが思った瞬間、楽にキャッチできると思っていた奈良育英GK安達が慌てた。後ずさりしながらジャンプ。その指先をかすめるように、ボールはさらに伸びた。勢いが止まったのは、ゴールネットを揺らした後だった。

 石井がボールをセットしたのは前半終了間際「ロスタイム1分」の表示が出た直後だった。ハーフラインから敵陣に10メートルほど入った左サイド。ゴールまで直線で45メートルあった。当然のようにゴール前には仙台育英の選手が上がる。右足から繰り出されたのは、その頭に合わせるはずのボール。それが、先制点になった。

 過去には、西目農のFW小松晃が50メートルシュートを決めている。40メートルクラスの超ロングシュートも珍しくなくなった。しかし、これほど驚かせたゴールも珍しい。カメラマンはボールを追うことができず、記者席も騒然。観客こそ少なかったが、スタンドもどよめいた。興奮した鈴木雄主将は我を忘れ、ボールを高く掲げたままセンターサークルまで運ぶという「珍プレー」まで披露した。

 決められた奈良育英のGK安達は、2年生ながら191センチの長身。母校の先輩で日本代表GK楢崎正剛(名古屋)を超える逸材と言われ、ハイボールにも強いはずだった。不運な失点に「自分の判断ミス。直接入るなんて…。風も考えていなかった」と泣き崩れた。

 しかし、もっとも驚いていたのは、決めた石井本人だった。「狙っていませんよ。あの距離ですよ。ラッキーでした」。仰天ゴールの効果は絶大だった。それまで押されていた流れは変わり、1分半後には再び石井のCKから2点目。後半にも2点を奪い、4ゴールの大勝。不利の下馬評を覆した。吉井監督は「石井は固定されたキッカーじゃないが、あれを入れるなんてね」と思わず笑みをこぼした。全国が注目する開幕戦を引き当てた強運。そして文字通り「追い風」に乗った仰天ゴール。仙台育英の勝利には「東北勢初の国立白星」というおまけまでついた。【高宮憲治】

[2003/12/31/10:23 紙面から]

写真=前半39分、仙台育英MF石井の放った45メートルFKに奈良育英GK安達が跳び付くも捕れず先制ゴールとなった(撮影・蔦林史峰)


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