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高3の天野が五輪切符/競泳日本選手権
女子400メートル個人メドレーで優勝した天野美沙は観客席に向かってガッツポーズ(撮影・野上伸悟)

<競泳:水泳日本選手権>◇初日◇20日◇東京辰巳国際水泳場◇女子400メートル個人メドレー決勝

 日本水泳にシンデレラガールが誕生した。女子400メートル個人メドレーで、これまで無名だった天野美沙(17=桐蔭学園)が優勝。4分43秒72で日本水連が設けた五輪派遣標準記録を1秒33上回り、アテネ五輪代表の座をつかんだ。五輪選考会で初めて行われた一発選考。過去の実績に関係なく、わずか1度のレースで派遣標準記録を破って2位以内という明確な選考基準が、新しいヒロインを生んだ。

 バタフライ、背泳ぎを終えた200メートル、天野は4位だった。平泳ぎでトップに立った17歳の頭の中には、4分45秒05の派遣標準記録だけがあった。抜群のスタミナで豪快に水をかいた。2位の藤田をグイグイと引き離す。「得意の後半でがんばりました」。夢に向けてのラストスパート。戦う相手は、派遣標準記録というタイムだった。

 ゴール板をたたくと、すぐに電光掲示板を見た。目標のタイムを上回る4分43秒台。次の瞬間、天野は右のこぶしを観客席に突き上げた。初優勝とともに手にしたアテネ五輪代表の座。こぶしの先の水泳部仲間たちが大歓声を挙げた。これまで無名だった高校生の快挙に、会場のざわめきはしばらく収まらなかった。

 昨夏の高校選手権で200、400メートル個人メドレーの2冠を獲得。02年は10位台だった国内ランキングが03年は両種目とも4位まで上がった。口癖は「目標は世界」。ビート板、毎日の練習メニュー用の紙にも、その言葉を書き込み、1日2万5000メートルも泳ぎ込んだ。11月に日本水連から派遣標準記録が示された。「突破すればアテネ」。目標は明確になった。

 冬休みにはオーストラリアで、春休みにはグアムで泳ぎ込んだ。日焼けした顔が、練習量の多さを物語っていた。桐蔭学園の小笠原一彰監督(31)は「普通の女子高生ならそっぽを向くような過酷な練習もついてきてくれた」と話した。同校初の競泳五輪代表誕生を目指して、OB会も協力。「美沙をアテネへ」と強化費用をカンパするなど、バックアップしてくれた。

 わずか5分の間に五輪を夢見ていた高校生スイマーは、日本水泳を支える五輪代表になった。天野は「常に高い目標があるから秘めた力が出てくる」と、胸を張った。派遣標準記録という目標はクリアした。次はさらに高い目標。「アテネでは外国人パワーに負けないように、4分(40秒を切って、世界と戦いたい」と言った。実績のある選手が落選する可能性もある一発選考。厳しい戦いは、同時にたくましいニューヒロインを生んだ。【田口潤】

[2004/4/21/09:58 紙面から]

写真=女子400メートル個人メドレーで優勝した天野美沙は観客席に向かってガッツポーズ(撮影・野上伸悟)



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