ホーム > 高校サッカー2006 > 全国高校選手権特集 > 注目選手 > 伊藤翔
今大会で最も注目される選手のひとりが中京大中京(愛知)のU-19(19歳以下)日本代表FW伊藤翔主将(3年)だ。アーセナルの入団テストにも合格した世界基準の逸材は、24日にフランス2部グルノーブルへの入団を表明。31日の広島皆実との初戦に向け順調な調整を続けている。

「和製アンリ」と呼ばれ、本家フランス代表のアンリが所属するアーセナルの入団テストに合格した逸材、中京大中京FW伊藤翔が高校最後の大舞台に立つ。
目標はまず、4強入りでの国立行き。「初戦を勝って、夢の国立に行けるように頑張りたい。得点王? ゴールの数より、チームが勝てばいい」。エースとして、主将としてチームの勝利のためにすべてを注ぐ。
伊藤翔の才能を見いだし、3年間指導してきた道家歩監督(41)は「たとえゴールできなくてもアシスト、ディフェンス、リーダシップと4つをこなすのが伊藤翔」と語る。与えられた1人4役のノルマをやり遂げ、勝利を目指す。
愛知県大会では3戦で4ゴールを挙げた。ただ、得点は前半だけでハットトリックを達成するなど、大爆発した愛工大名電との初戦(準々決勝)の4点だけ。準決勝、決勝は厳しいマークもありノーゴール。それでも、勝利のために体を張り、声を出し続け、チームを鼓舞した。

全国切符獲得への道のりは、昨年度とは大きく違った。中京大中京の県大会登場は準々決勝から。伊藤翔がアジアユース選手権(インド)に出場しチームを離れていたため「スーパーシード」として1校だけ、特例措置がとられた。中には、特別扱いを疑問視する声もあった。だが、そのプレッシャーにも打ち勝ち、しっかり愛知の頂点に立った。「恥ずかしい試合はできなかった」。エースは、注目される中で、より一層たくましさを増していた。
3年間通じ、世代別代表の活動でチームを離れる期間が多かった。それだけに、チーム愛は人一倍。準優勝したアジアユースの開催地インドから帰国した11月15日には、周囲の休養を勧める声に耳を貸さず、その日のうちにチーム練習に合流した。「もし負けたら、このチームでもうサッカーができなくなるんで」。自然とグラウンドに足が向いた。
選手権にデビューした昨年は、初戦に勝って関東で年を越したが、2回戦敗退。伊藤翔もノーゴールに終わっている。真価を問われる集大成の冬。1日も長く仲間と過ごすためにも「和製アンリ」が中京大中京をけん引する。
伊藤翔は24日、フランス2部グルノーブルへの入団を明言した。愛知・刈谷市内で30日開幕の全国高校選手権に向け行われた練習試合後「グルノーブルに決めました。(アーセナルの)ベンゲル監督とグルノーブルの監督さんは仲がいいので」と入団テストに合格したアーセナル入りを見据え、決断に至った経緯を明かした。
この日、国内で獲得に乗り出していた横浜、浦和などに断りを入れてから口を開いた。すでに2度、グルノーブルの練習に参加しており「みんな明るく、朗らかな感じで接してくれた。街もきれいでした」と好印象を抱いている。高校選手権開幕前の26日に名古屋市の同校で会見を行い、正式にグルノーブル入団を発表した。
中京大中京にはもう1人、注目の伊藤がいる。背番号9の伊藤了(2年)はエースFW伊藤翔の実弟。兄を「翔クン」と呼ぶ仲の良いきょうだいのデキが、チーム浮沈のカギを握っている。兄翔は、あうんの呼吸で相手ゴールに襲い掛かる頼もしい相棒の弟了に「あいつも気合入っているんですよ」と期待を寄せている。